住宅購入、「頭金0円から購入できます!」はウソ?ホント?
Residence 2022.10.13 UPDATE
住宅を「頭金0円で購入できる」は正しい
みなさんが住宅購入を考え始めるとき、まず始めにすることは情報収集だと思います。金額の相場はいくらなのか。住宅ローンはどのくらい組むのが良いのか。マンションが良いのか一軒家が良いのか、新築にするのか中古も検討するのか、などなど。
中でも住宅を購入するにあたって、最も大きいポイントのひとつは価格だと思います。みなさんはインターネットや自宅に入ってくるチラシなどで、「頭金0円から購入できます!」のようなキャッチコピーを見たことがありませんか? この文章を見て、嘘でしょ? と思われる方も中にはいるかもしれませんが、これは真実です。
しかし、例えば5,000万円のマンションを購入しようという方から「頭金0円から可能だから、支払いは5,000万円ぴったりで良いですか?」という質問をされた場合の回答は「5,200万円前後かかります」となります。え、200万円? 今回は、「頭金0円なのに広告記載の値段で買えないのはなぜ?」について書いていこうと思います。
1.頭金とは?
さて、まず頭金とは何なのかについて考えてみましょう。住宅探しをしたことがある方は、よく目にした言葉だと思いますが、頭金=あたまきんと読みます。ここでは、5,000万円のマンションを購入するケースについて考えていきます。
・Aさんは5,000万円のローンを組みました。
・Bさんは貯金から400万円を出して、4,600万円のローンを組みました。
・Cさんは貯金から1,000万円をだして、4,000万円のローンを組みました。
頭金とはBさんでいう「400万円」Cさんでいう「1,000万円」のことを言います。
Aさんはマンション価格5,000万円をまるごとローンを組んでいるので、冒頭で述べた、「頭金0円で住宅を購入できた」状態となります。つまり、実際に「頭金0円で住宅購入可能」なのです。
これは、ここ十数年の価値観で、私の両親世代(50代~60代)以上の方だと、信じられないと思います。今から32年前の1990年当時、住宅ローンの金利は都市銀行の変動金利で8.5%、住宅金融支援公庫(今のフラット35)で5.5%でした!
参考:フラット35
この違いは、例えば今の、じぶん銀行住宅ローン金利0.41%で5,000万円を35年で借りた場合だと、月々の支払いが127,813円ですが、8.5%だと373,430円となり、なんと245,617円差額になります。
そのため、頭金がない状態で購入すること自体が考えられませんでした。しかし、今は住宅ローンの金利は0%台。頭金を貯めるために、賃貸+貯金をしていくよりは、そのお金で住宅購入できてしまうので、良いと思える物件と出会えたら、自信を持って購入への一歩を踏み出しても良いかもしれませんね。
しかし、物件購入をする際には、諸費用とよばれる費用がかかります。
2.諸費用とは?
諸費用とは、物件を購入する際にかかる諸々の費用のことで、新築マンションを購入する場合ですと、ざっくりと以下のものがかかってきます。
①印紙代、②住宅ローン手数料(保証料)、③火災保険料、④登記費用、⑤税金、⑥管理にかかる費用
①印紙代
マンションを購入する際、「売買契約書」に添付することが義務付けられており、物件価格によって金額が異なります。物件の税抜き価格が5,000万円以上で1万円、5,001万円~1億円で3万円などです。ちなみに不動産会社が提示する物件価格は、ほとんど税込表記なので、5,100万円くらいの物件価格でも、税抜きだと4,900万円台になることがあって、その場合の印紙は1万円です。
また、物件のみならず、住宅ローンの契約書にも必要となります。
②住宅ローン手数料(保証料)
住宅ローンを組む金融機関に支払うものになります。金融機関によって非常に金額差があり、数十万円~数百万円ほどの差がでてきます。5,000万円住宅ローンを35年で組む場合における、みずほ銀行とじぶん銀行で比較をしてみます。
【みずほ銀行】 手数料 33,000円 保証料 1,030,550円
【じぶん銀行】 手数料 1,100,000円 保証料 0円
ローンの契約を店舗で行う金融機関だと、手数料と保証料で分けるところが多く、店舗を持たず、契約も郵送もしくは電子で行うネットバンクなどは手数料でとるケースが多い印象ですね。
ちなみに保証料とは、過去、住宅ローンの融資において保証人をたてるケースがありました。現在はその制度がなくなり、保証会社にお願いする仕組みになったので、その費用です。また、保証料は金融機関、ローンを組む年数、保証会社の審査結果、ローンの組み方(元利均等返済 or 元金均等返済)によって基本となる金額が異なりますのでご注意ください。 手数料と保証料の大きな違いとして、保証料は繰り上げ返済を行った場合、その金額に対する保証額分は返金されますが、手数料はいくら繰上返済をしても返金はありません。
ネットバンク系で「住宅ローン保証料0円」と謳っていたりますが、手数料で同程度かかりますので、このあたりは注意が必要ですね。ちなみにフラット35の場合は保証料がかからず、手数料も低い傾向があります。
私の個人的な思い出ですが、楽天銀行が保証料0円で、手数料が一律33万円だったので、よくお客様に紹介していました。
参照:楽天銀行 住宅ローン
そのほか、不動産会社の提携でローンを組む場合は、不動産会社に手数料がかかります。こちらはおおよそ8万円前後かと思いますが、提携ローンの場合、住宅ローン金利が一般より下がる傾向があるので、ローンの事前審査をしながら比較検討してみてくださいね。
③火災保険料
不動産会社からの提案、金融機関からの提案、もしくはご自身で保険の窓口や知り合いの保険屋さんにお願いする、どのパターンでも問題ありませんが、住宅ローンを組む方は加入必須です。プランによって大きく金額差があり、地震保険の有無や水災、家財の保障をいくらつけるのかなどによって、安いと4万円~二十数万円までふり幅があります。
分譲マンションは集合住宅なので、まわりの家が原因で自分の家が被害に巻き込まれるケースがあれば、自分が周りを巻き込んでしまうケースもあり得るので、いろいろなケースで保障がされる安心感のためにも、しっかり検討が必要ですね。個人的には10万円台の金額に加入する方が多かった印象です。
④登記費用
マンションの場合、基本的に1棟まとめて指定の司法書士に登記を依頼するので、例えご自身が司法書士資格をお持ちでも、登記費用はかかってきます。住宅ローンの借入額の違いや、住宅の広さ、引渡し時期によっても異なりますが、個人的なイメージとしては、トータルで30万円~40万円程かかる印象です。この費用は住宅ローンの手数料などとは違い、選択できるものではないので、必要なものという認識でいていただいた方が良いと思います。
SUUMO: マンション購入で行う登記の種類は新築と中古で違う?登記費用の相場についてもプロが解説
⑤税金
登記費用と同様、どうしようもないのが税金です。購入したときだけかかる「不動産取得税」と、購入した後に毎年かかる「固定資産税」があり、不動産取得税は物件の広さによって、軽減措置をうけられる場合があるので、それによって金額が変わります。物件の引き渡し時の約半年後以降くらいで、お住まいの県から通知が届きますので、そちらで支払うものです。支払いタイミングが違うので、引っ越しした後に困らないよう、諸費用が安く済んだと思って油断しないようにしてくださいね。
固定資産税は、初年度は引き渡し日から日割り計算で清算されますが、翌年からは1年分かかってきます。お住いの自治体によって納付日が異なり、一括で支払うこともできますし、自治体の指定する4回の支払いタイミングに合わせて少しずつ払うことも可能です。
私の友人で、うっかり固定資産税を期日内に払うのを忘れ、口座が凍結されかけ、住宅ローンを借りている金融機関から焦りの電話を受けた友人がいました(笑)税金の滞納には注意です。ちなみに固定資産税は、よほど地価が急上昇しない限りは、年数を経るごとにゆるやかに安くなっていく傾向があります。
⑥管理にかかる費用
最後に「管理準備金」と「修繕積立基金」です。マンションの場合、毎月管理費と修繕費がかかります。管理費は、例えば共用部の掃除のために雇われた方や管理人さんの人件費、空調代や電気代、エントランスに音楽がかかっているマンションの場合は、その費用などがあります。
修繕費は、約12年ごとに大規模修繕をするための貯金として、住民全員で貯蓄していくものですが、管理費も修繕費も、入居時点では0円です。0円の状態での運営は、かなりリスクが高いため、最初にある程度まとまったお金を貯金するためにかかる費用となります。未来の自分の家のためのお金なので、支払いというよりは貯金の感覚に近いと思います。
以上、新築マンションを購入する際の費用についてお話させていただきました。このように諸々費用がかかってきますので、私個人のイメージですが、諸費用は安くて150万円程、広い住居や、都心の一等地の立地だと400万円超えの印象です。ですが、ローンの手数料や火災保険など、ご自身で取捨選択することで抑えられる部分がありますので、ぜひ賢く利用してみてください。
ちなみにですが、この諸費用を丸ごと借り入れることもできたりしますので、詳しくはぜひモデルルームで営業スタッフに聞いてみてください!
参照:タカラレーベン